古酒とは

知識18 仕次ぎ

仕次ぎに関しては、「100年古酒を可能にする『仕次ぎ』」の項でもご説明しましたが、戦前の名家ならともかく、今の時代に1番から5、6番までの古酒甕をそろえるのはかなり至難なこと。ここでは、泡盛古酒入門編として、簡単な方法をお伝えしましょう。

汲み出す酒は年に総量の5~10%以内に

古酒用の甕には、一般のご家庭では3升から1斗甕くらいの大きさがよく用いられます。飲みながら育てられるのが古酒づくりの楽しみではありますが、古酒名人たちの意見をまとめると、1年に汲み出すのはそのうちの5~10%が望ましいとのこと。それ以上汲み出すと、新しく注ぎ足す酒の量が増えるので、いい古酒にはなかなか育ちにくいのだそうです。

最初はひと甕からスタート。そばに1升瓶を用意

初めて古酒を育てる場合、例えば5升甕にA酒造所のお酒を詰めてもらったとします。その甕の隣に、同じ酒造所の仕次ぎ用の泡盛を2本ほど用意しておくのはいかがでしょう。
正月や誕生日に、1年に一度、2合ずつ汲み出して飲むとして、飲んだ分と自然に蒸散した分を合わせて、この1升瓶から注ぎ足していくのです。単純計算して1年に2合強を仕次ぎすると考えても、8年くらい持つはずです。つまり、甕の酒は100%8年古酒に育っていくことになります。その間に、5年古酒くらいの甕を購入して2番甕にするのもいいかもしれません。こうやって、少しずつ泡盛甕を増やしていくのもきっと楽しいはずですよ。

それに最初はたった2合かと思っていても、10年、20年と育てていくうちにその味わいはきっと大きく変化し、1年にこれだけの古酒が2合も飲めるのか……というふうに気持ちも変わっていくに違いありません。そうなれば、皆さんの古酒はきっと家宝のひとつになっていることでしょう。

もちろん、毎年汲み出して飲む必要もありません。中には5年、10年とまったく蓋を開けずに古酒にする方もいらっしゃいます。仕次ぎは数十年後からという古酒造りをしている方もいらっしゃいます。いろいろな方の意見を参考に、皆さんのご家庭ならではの古酒造りをお楽しみください。
蓋を開けない場合でも、古酒の管理(別項)は怠ることのないようにご注意くださいね。

記事提供:沖縄県酒造組合

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